清水港独自の配色構成
― ユーザーの意向を組み込んだ色彩・景観計画
港湾荷役機械、タンク達による魅力ある空間構成 ―

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 色彩構成とシンボルカラーの設定景観・色彩現況調査とアンケート調査結果の基礎データーを基にしてベースカラー、アクセントカラー、アクセサリカラー、シンボルカラーの色彩構成とその抽出を行っています。
 また、港の地域・景観特性に応じて、8つの地域にゾーニングし各々地区のカラーイメージ方針をたて、配色計画を検討しています。
 ベースカラーは、清水港より約3Km離れた標高307mの日本平を眺望地点(視点場)として、風景の「地」としての基調色。その視点場からの俯瞰景を考慮して「図」としての屋根の色を、港湾を巡るように青色から緑色、そして青色へとグラデーション配色としています。
 構造物の外壁の色も全地域、明度7~9°、彩度N~3の同一トーンで、色相は現況色彩に準じ選択幅をもたせているのが特徴です。
 アクセントカラーとしては、大きな港湾工作物等の規模を軽減するためデザイン的配色を行い、地域毎の共通イメージをもたせる色として設定しました。
 他港の色彩計画と異なる大きな特徴は、シンボルカラーとアクセサリカラーの設定にあります。
 全国の事例の中でシンボルカラーが用いられているのは、横浜港のみで、当港ではシンボルカラーを「かがやきシンボル」と呼ひ一部の特定施設に使用を限っています。
 これに対し、「清水港・みなと色彩計画」の重要なポイントであるシンボルカラーは、清水港全体をシンボライズするものであり、むしろポートカラーとしています。すなわち、8つの地域共通のものとして、港全体のアイデンティティを示し、港湾全体を代表する色として用いています。
 このため、地域の嗜好色の71%を占める青系~青緑系の中から、10B7/8アクアブルーを選定しました。この色は、旧清水市の国際海洋文化都市構想や清水港の新しい将来計画、企業や市民が港に求める明るさや清潔さ等のイメージに対応し、「清潔な、清らかな、平和な、シンプルな、真新しい」という意味を持ちます。
 しかしこの色は、空間を表わすには適切ですが、形になりにくい色であることから、N9.5ホワイトと共にセパレートカラーを利用して展開することにより配色効果を上げるという意図から、この2色をシンボルカラーとしています。
 シンボルカラーの決定にあたっては官・学・産・民の代表で構成された「清水港・みなと色彩計画策定委員会」で十分に議論し、合意を得たことも大きな特徴です。
シンボルカラーの使用についての取り決め
港の一体感を与えるために、施設の一部に必ずシンボルカラーを配色する。
港湾景観としてランドマーク的な施設や港の機能としてシンボル的な施設・工作物は、シンボルカラーのみ、あるいは大部分をシンボルカラーで配色する。
その他の施設は、大きさにもよりますが、外壁面積15%程度を目安にシンボルカラーを配色する。
シンボルカラーを配色する場所は、視認しやすいところ、しかも隣合う構造物の間で誘目性を考えて配色する。
 一方、アクセサリカラーは、企業の意向や独自性を尊重できるように設定したもので、例えば企業のカラーが設定されている場合などに使用する。使用方法は、アクセントカラーと同様とする。
 上記のように、「清水港・みなと色彩計画」は、他港で見られる塗りわけ方式はとらずに、「美しい富士山の自然景観に人工景観(港湾景観)が調和」した風景づくりを目指しています。
 港全体の空間の調和をはかると同時に、個々の企業の独自性と個性を尊重するような配色デザインとしているのが清水港のオリジナルの特徴になります。